2024年の5月、わたしはゴールデンウイークを利用して4泊5日でソウルに行ってきた。
わたしは、仁川国際空港から明洞のゲストハウス(個室・一泊6,000円)に着き、荷物を置くと、食事をするため繁華街に出た。
そこで、おどろく光景を目にした。
明洞の繁華街は、日本の、わたしが住む街の繁華街と瓜二つだったのだ。雑居ビルが立ち並び、スタバやマッサージ店、雑貨屋、焼肉屋、アディダス、ABC-MART、カフェ、レストランなどのカラフルな看板がひしめき合っている。そして、観光客らしき人々の日本語があちこちから聞こえてくる。
「あっちやでー、ちゃうちゃう、こっちや」
たまたまだろうけれど、大阪人が多い感じだった。道の真ん中で旗を立て、キリスト教の布教を唱えている男性がいたが、それも、日本語。最初にマッサージに勧誘してきた女性も日本人だったし、カフェに入って席に座れば、やはり日本語で「これはサービス品です」と、袋入りのクッキーを手渡される。
夕方になると、あちこちに出店が出るが、韓国語や英語より大きな文字で「日本人も愛するチャプチェ」と書かれていたりする。わたしは、チャプチェという韓国料理を知らなかったが、即買いし、頬張った。ごま油とニラ、豚肉と米粉の平麵がソースと絡み合い、奏でる味は、素朴で、どこか懐かしかしく、胸に染みる。
「わたしも、チャプチェを永遠に愛するわ!」
と、ネオンカラーの看板が煌めく明洞の町で、わたしは心の中で叫んだ。
なーんだ、韓国人って、なんだかんだ言って、日本人が好きなのじゃないだろうか。
もちろん、明洞を訪れる観光客は、日本人が一番多いのかもしれないし、政治・思想と商売はまた別なのだろう。しかし、こんな、日本にそっくりな街に何故、日本人が押し寄せているのかも不思議。
話は変わるが、わたしは、最近、タイとベトナムに行ったが、東南アジア人が憧れる国はどうも韓国のようだった。K-POP、とりわけBTSや韓国映画・ドラマの影響は強いのだろうが、やはり北に在る韓国人は、色白で背が高いイメージがあり、物価も高く、お金持ちに見えるのだろう。実際、わたしは、ベトナムで「Korean Style」と看板に書かれた洋服店を見たし、マッサージ店であからさまにチヤホヤされる時があったが、その時も「オンニ、オンニ!」と韓国語で呼び掛けられていた。タイ人の友達の娘も韓国に突然、出奔し、韓国語を学び、今はコンビニ店で働いているという。(逞しい!)
さて、次の朝、こじんまりとした粥店の前に行列ができていたので、わたしも並んだ。(こういうことが、ふらりとできるのが、一人旅の醍醐味だろう)30分間ほど待って、「アワビ粥」なるものを注文し、3種類のキムチやナムルとともにたっぷりの量の粥が運ばれてきた。小さな店内には20人ほどの客がひしめき合い、会話に耳を澄ますと全員日本人だった。
そして、キムチやナムルとともにいただいたアワビ粥は、想像を絶する美味しさだった。キムチも、塩分も辛さも控えめで、野菜の味がしっかり感じられ、舌だけではなく身体の細胞がプチプチ喜ぶ感じ。
粥とは、病気の時に梅干しとともに喉に流し込むだけのものではないのだなあ。
コメント