落ち込んだら、笠置シヅ子の歌を聴こう!

エッセイ

 不安神経症を患っているわたしは、年に数回は、気持ちが落ち込んで、身体が動けなくなる。

 最近も、疲れやストレスが重なり、ズーンと気が重くなることもあり、20年ぶりに病気休暇をとった。

 最初の1週間くらいは、ウーバーイーツで好きなものを取って食べたり、好きなだけ眠ったり、猫と戯れて楽しかったり、家にこもるのも悪くないな、とこっそり思ったりした。しかし、思考が巡りだすと、仕事やいろんなことが気になってくるし、筋肉が落ちて身体が重くなってくるし、半端なく気が滅入ってくる。

 不安神経症で身体が動けなくなると、囚われの身となり、四方をガラスで囲まれているように圧迫され、脳がパチパチ、ビリビリと軽く感電するような症状が起きてくる。(この表現は、メンタル疾患を罹患した経験のある方には、分かっていただける、と思う)

 こういう時に大事なのは、散歩と瞑想。カフェインと砂糖を断つこと。

 分かっているけれど、どれも、億劫さが勝って、できていない。何とか風呂に入り、短いストレッチをするのがやっと、という感じ。

 しかし、そんなある日、わたしは、ふいに、Youtube動画で、笠置シヅ子の歌に出会った。そして、独特のリズムと圧倒的な歌唱力に驚いた。

 彼女の歌を聴いている時だけは、気分が明るくなる。その時だけは、心の底から、力が漲ってくる。

 彼女の表情は明るくて、チャーミングで、クルクル変わる。踊りも歌もリズムがあって、とっても引き込まれる。

 髪型が、1940年代に流行った、モガヘアー、あるいはヴィクトリーロールであるところも、興味深い。思えば、『サザエさん』も、そういう髪型だな。

 彼女の顔には、昭和の女性の魅力がぎゅっと詰まっているような気がする。身長は146センチと小柄で、芸能活動をしている中で、悔しい思いもしたようだ。でも、そこも可愛らしく感じる。

 わたしは、小説家になるのが夢だったから(今も目標にしている)、昭和の作家の生活にはなんとなく触れていたが、昭和の歌手は、歌って、踊って、何だか健康的で、楽しそう。(それにひきかえ、作家は、身体を動かさず、発散できなかったからか、退廃的な生活を送っているように見える)

 でも、楽しそうに見えるだけで、想像もつかないような苦労があったのだろうな。人気者で、プライベートがなくて、浮き沈みの激しい芸能界での気苦労は絶えなかっただろう。

 わたしは、彼女の「東京ブギウギ」や「買物ブギー」も大好きだが、一番好きなのは「ラッパと娘」。

 「あの街でも、この街でも、みんな歌うわ!バンバンバンバンバン、バーニー、バーニー!」

 ああ、わたしも、病気が治ったら、カラオケ店で笠置シヅ子の世界に浸るわよ!バーニー!

コメント

  1. eigotto より:

    散歩って良いですよね☺️
    キャラ的に想像出来ないと思いますが私も気が滅入ることはあります。
    しょうがないという魔法の言葉で片付ける事としてます。
    どんな悩みやこの世の終わりのような出来事も時間が経つとしょうがないと答えに導かれるので
    初めにしょうがないを持ってくるように練習しました
    病気とかで滅入る事ありますが
    撫でてゴロゴロ聞いてあー幸せだなぁと思うとそれはそれでとなってます

    またエッセイ待ってますね❣️

    • kotokoto より:

      eigottoさん、
      いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。
      「しょうがない」
      素朴で、良い言葉ですね。
      むかし、知り合いのイギリス人が「しょうがない」を「NO Ginger」(生姜、ない)と
      ダジャレ?を言っていたことを思い出しました。(笑)
      猫と散歩、そして「しょうがない」で、元気を出しますね!