フランスのパリに行ってきました⑭~やっぱりお勧めは、ルーブル美術館とカフェ・アンジェリーナの絶品ランチ~

エッセイ

 2024年の9月、わたしはパリに10日間ほど滞在し、ゆるゆると旅行記ブログみたいなものを書いているのだが、今はもう2025年のお正月…。X(旧ツイッター)を覗くと、正月の清々しく心に染み入る景色や、家族の団らんや、犬、猫(中にはマーモットやうさぎ)とのんびり過ごす様子、美味しそうなお節料理の投稿で賑わっている。

 中には、ヨーロッパを旅行している投稿もあり、雪が降り積もり、ひと際美しく重厚な城や中世の雰囲気を漂わせた、雪でしっとりした街並みの写真を見られるのが楽しい。

 しかし、学生の頃、冬真っただ中の2月に、ドイツに一か月間滞在し、肺炎になり、ベルリンで入院した経験があるわたしにとって、ヨーロッパの厳冬は舐めてはいけないもののひとつに入っている。

 かといって、真夏のヨーロッパも、酷暑が続くという。(イギリスは緯度が高い分あって、真夏でもそれほど暑くないようだ)

 特に街の景観を重んじるパリでは、エアコンの室外機をベランダに置けないから、必然的にクーラーのないホテルが多い。(真夏にエアコンがない、と聞くだけで、軟弱なわたしはぞっとしてしまう・・・)

 さて、わたしが、今回、パリを旅して、特にお勧めだと思うのは、ベタだけれど、ルーブル美術館でゆっくりと絵画や彫刻、宝石などを鑑賞し、館内にあるカフェ・アンジェリーナでランチをいただくことだろう。

 パリ在住の日本人で、ルーブル美術館があったから、離婚したり、落ち込んだことがあっても乗り越えられた、とYoutube動画で語っていた女性がいらっしゃったが、何となくわかる気がする。

 ルーヴル美術館は8つの部門に分かれていて、古代エジプト、古代ギリシャ・ローマ、イスラム美術、絵画、彫刻、装飾美術、版画・素描、近東の古代美術が展示されている。広大な展示スペースを通じて、さまざまな時代と文化の芸術を楽しむことができる。

 ナポレオンの居間の重厚で、煌びやかで、装飾の施されたテーブルや椅子、シャンデリアや絵画などを見ているだけで、当時にタイムスリップした気分が味わえ、うっとりとした気分になる。

 絵画は肖像画や風景画、宗教画、神話に基づく絵画など多数展示され、それは迫力があった。宗教画や神話に基づく絵は強いメッセージ性が込められていて、絵自体も大きなものが多く、作家の魂が伝わって来て、わたしは、あるひとつの絵画に圧倒されて、思わず絵画の前で号泣するということもあった。

 また、高さは229 cmの、大理石の彫刻、ミケランジェロ・ブオナローティの『死にゆく奴隷』は圧巻だった。この彫刻の男性は20代で、鉱山か農業労働をしていたのだろう、筋肉隆々で、もちろんミケランジェロは『青年の美しさ』を表現しているのかもしれないが、こういう奴隷もいたのだろう、と思うと、そして、この青年には母親もいたことなどに思いをはせると、心に迫ってくるものがある。

 ルーブル美術館の中にある、カフェ・アンジェリーナでいただいたランチも素晴らしかった。サラダとソースの掛かった白身魚も味が濃すぎず、横に添えられたオレンジのご飯はブイヨンとトマトソースでしっかり味付けされ、絶品だった。忘れられないのは、デザートのレモンタルト。酸っぱいものが苦手な方は食べにくいだろうな、と思うほど、レモンの酸味が爽やかに脳を駆け巡り、一口食べるたびに、わたしは頭をグワングワン回し、女性の店員さんが驚いたのか、

「いかがですが?」

と、笑顔で話しかけてきた。

「こんな美味しいレモンタルトを、わたしは初めていただきました」

と感激して言うと、店員さんは飛び切りの笑顔を見せてくれた。

 わたしが食事を終えたら、さっと皿を引いて、デザートとコーヒーを運んでくれ、接客が軽やかでスムーズなのも気持ちが良い。

 全部で、チップ込みで50ユーロ(当時のレートで8,000円)だった。今は為替の影響で、日本人にはお高いけれど、宮殿のような場所で美味しいランチをいただく対価としては、納得できる価格だと思う。

 ちなみに、フランスで賃金や給料を得ている人にとっては、1ユーロは100円ほどの価値だという。50ユーロのランチは5,000円ということになるから、そうであれば、カフェ・アンジェリーナのランチも、そんなに高いのではないのかな。

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