ここが面白いギリシャ

エッセイ

 わたしは結婚する前に11カ国を旅し、今思い出しても、ギリシャが一番印象深い。

 わたしがギリシャに行ったのは30年前だったけれど、メロンが1キロ20円だった。日本では年に一度くらいしか食べられないのに、ギリシャでは毎日お腹いっぱいメロンを食べていた。ひんやりした果肉は甘くてみずみずしくて、今思い出しても夢見心地な気分になる。

 しかし、メロンが安いことから、貧乏そうな男のことを、

 「彼はメロンを売っている」

 と表現されていた・・・。

 そして、バナナがちょっと高級品で、当時、一本が100円ほどした。ギリシャ人はバナナを大切に食べていた。(ギリシャでバナナのたたき売りをしたら、ギリシャ人は、泣いて喜ぶのではなかろうか)

 それから古代神殿。パルテノンも素晴らしいけれど、ポセイドンの神殿はエーゲ海に沿った、切り立った崖に建っていて、削ぎ落とされた美しさが輝いていた。

 ああいう美しさに触れると、服や宝飾品にお金をかけず、脂肪を落とし筋肉をつけ、サラッと綿のシャツを着て、栄養価の高い食事と読書、質素な旅行を楽しむような生活をしたくなる。

 また線路のすぐ横に、今にも崩れ落ちそうな教会があったりする。ギリシャでは、教会は一度建てたら決して取り壊してはならない、という法律があるらしい。

 そして、トルコと共通するところだけれど、スブラキ(トルコでいうケバブ)が美味しく、青い目玉をモチーフにしたお守りがいっぱい売られている。わたしはこのお守りが大好き。見ていると元気が出る。

 

 ウクレレに似た形の、ギリシャの弦楽器、ブズーキの音色を聴くと、エーゲ海がプラチナ色にキラキラ光る光景が目に浮かぶ。

 そして、ギリシャ人が相槌を打つ時、

 「ポーポポポポポポ」

 と、いう。レストランで食事をしたりすると、あちこちから、ポーポポポポポポと聞こえてくる。

 しかし、日本人が言う、

 「へぇー」

 という相槌も、外国人にとってはかなり独特に聞こえるようで、こっそり練習している外国人もいるようだ。

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