山口百恵と真っ赤なポルシェ

エッセイ

 わたしは、誰かと知り合いになると、その人の趣味に興味を抱くタイプだ。

 マラソンや山登りなどというハードな活動と聞けばスルーし(わたしはキツイことは基本的に嫌い)、料理やお菓子作りと聞けば(簡単そうな場合は)レシピを教えてもらい、旅行と聞けば穴場などを教えてもらう。

 「旅行先で、食器を買うのが趣味なの」

 と、同じ年代の女性から聞くことも多い。旅先でそんな重い物を買わなくても、と思うが、そういうことも含めて旅の思い出なのだろう。

 思えば、旅先でわたしも、どうして?というようなものをよく買った。

 まず、オーストラリアでは20個ほどブーメランを買って、友人にプレゼントしたが、誰も嬉しそうな顔はしなかった。当たり前だ。日本のどこでブーメランを飛ばせるというのだろうか。他には、カンガルーの睾丸で作られた小銭入れ。品がないし、第一、カンガルーがかわいそうだ。(深く反省)

 マレーシアでは、わざわざ伊勢丹に行って、3万円もする民族衣装を買ったが、日本で着たことはない。

 ドイツで買った本物のエーデルワイスが入ったガラスのペンダント。エーデルワイスって名前は可憐に響くが、花そのものは白い蜘蛛みたいで、これも付けたことがない。

 あとは、その国々のお守りの類。効果を感じたことは一度もなく、いつの間にかなくしてしまった。

 最近、おっ!と思ったのは、通りに止められた真っ赤なポルシェ。思わず運転している人を見た。わたしと同じ年代の男性がサングラスを掛け、山口百恵のプレイバックパート2の出だしである「♪緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ~♪」の部分だけをリピートさせて大音量で流し続けていた。

 この男性は、きっと何かで成功しこういう自分になることを目指していたのだろう。少し哀愁を感じた。

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