タイのパタヤに行ってきました④〜笑えないタイのチップ事情〜

エッセイ

 わたしは、パタヤに行く前にバンコクで2泊した。バンコクでの2日目、観光からホテルに帰って来て、洗面所で手を洗おうとしたら、半分切れた、ボロボロのタオルが掛かっていた。

 (はあはあ、タイではここまで物を使い倒すのだな)

 と、最初はそう納得したものの、自分が枕銭(部屋掃除の人へのチップ)を忘れていたことに気がついた。

 (えー、チップを置かないと、こんなあからさまな嫌がらせするの?それなら、最初から宿泊費に乗せておいてくれれば良いのに)

 と、ちょっと気分も悪くなった。

 しかし、バンコクの最低日給(時給ではない)が350バーツ(1,400円ほど)であることを思うと、50バーツや100バーツのチップをもらえるかもらえないかは、死活問題に関わることに思い至った。

 いくらタイの物価が安いとはいえ、自動車や家電製品など日本より高いものもあり、日本の物価の2分の1から3分の2くらいと言われている。(特にバンコクはそれほど安くもない)

 最低日給、1,400円で1ヶ月休みなく働いても、1,400円×30日=42,000円。

 家族で支え合って暮らしているとしても、これでは自由に使えるお金はほとんどないのではないか。

 しかも、聞いたところによると、労働時間は13時間で1時間の休憩のみだったり、月の休みはなく必要な時に取るだけだったりするようだ。

 もともと、タイのチップ制度は、欧米の観光客がもたらしたものだという。

 チップ制度のない日本人のわたしからしてみれば、タイに行った途端、常にチップのことを気にしなければならなくなるのはちょっとした災難のように感じる。小銭を用意したり、相場を考えるのも手間。あげすぎるのもお金が減って嫌だけれど、ケチと思われるのも心外だし。悩みがひとつ増える感じ。

 しかし、チップをあげると、相手の表情が一瞬で笑顔になる。今日は、このお金でお腹いっぱいご飯を食べられる、と、安堵するという人もいるのではなかろうか。

 ーこれで、屋台のパッタイ(50バーツ、200円ほど)でも食べて、リラックスしてねー

 そう、お金持ちでないわたしは、タイのほとんどの場面で、チップは50バーツ札(200円)を渡すことにしている。

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