女性の、年齢という呪縛

エッセイ

 今から30年以上前、わたしが20代の頃、

 ー女性はクリスマスケーキー

 という言葉が公然とあった。

 つまり、女性は25歳を過ぎると、12月25日を過ぎたクリスマスケーキと同じく、市場価値が損なわれると言われていた。

 わたしも25歳を過ぎていくつか見合いをしたが、「25歳を過ぎた女性はちょっと・・・」と会う前から断られたこともある。

 女友達が次々と結婚していくことに焦りばかり感じていた嫌な時代と嫌な自分。

 そんなある日、パキスタン人青年と話をすることがあり、日本の女はクリスマスケーキなのよ、と愚痴ったことがある。彼は言った。

 「パキスタンの女性よりはましだよ。パキスタンの女性は18歳を過ぎると結婚相手を見つけにくくなる。18歳の誕生日を迎えた女の子は行き遅れになってしまうんだ。それを、パキスタンでは”汽車は行ってしまった”と表現する」

 なんて、ひどい国だろうと思った。(まあ、日本も五十歩百歩だったけれど)

 わたしの娘など、

 「結婚なんてしたくない、お母さんのように育児と仕事で人生が終わるなんてまっぴらよ!」

 と、宣言している。少しは、女性が自分らしく生きられる時代になったのかもしれない。

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