アジア人の辛さの好み

エッセイ

 アジアの友人と食事をする度にびっくりするのは、あまりにも辛いものを好む、ということ。

 タイ人の友人と寿司屋に行った時、中皿に山盛りのワサビも注文し、寿司を一口食べる度に結構な量のワサビをパクパク食べていた。鼻がツーンとなるような表情はまったくない。よく、カラオケ店のメニューで、たこ焼き8個のうち、1個にワサビが詰まっていて誰が当たるか分からないというものがあって若者が頼んでいるようだけれど、タイ人はすべてのたこ焼きにワサビを注入してもらいたいのではなかろうか。

 中国人と坦々麺を食べに行った時、彼女はテーブルの上の辣油をわたしに勧めた後、一瓶すべて自分の坦々麺に掛け、汗を拭きながら美味しそうに完食した。

 また、韓国人の友人とラーメン屋に行ったら、レンゲにつゆと麺を乗せ、その上にカウンターのタッパーに入っていた生のニンニクを一つ載せては、ガリガリ音を立てて食べていた。

 インド人の知り合いは、青唐辛子をビニール袋に入れて持ち歩き、スナック菓子のようにポリポリ食べていた。わたしにも勧めてくれたが、もちろん丁重にお断りした。

 不思議に思うのは、彼らの胃はどんな作りになっているのかしら、ということ。あんなに辛いものを彼らと同じ量食べたりしたら、わたしなど胃痛で1週間は寝込みそう。わたしもタイに生まれていたら、ぱくぱくワサビを食べられるようになったのだろうか。

 今日、わたしは風邪気味で体調が悪かった。柔らかめのご飯とカボチャの味噌汁を夕食にした。出汁と味噌の香りとかぼちゃの甘味、豆腐の柔らかさ、刻みネギの風味が交じり合って、わたしの胃袋にそっと染みわたっていくようだった。

 アラカンのわたしには、日本食の優しい味が支えである。

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