わたしが昨年、5月にタイに行った時、まず驚いたことは、八百屋で売っていた山盛りのマンゴーパックが40バーツ(約160円)だったことだ。ナイトマーケットに行けば、ドラゴンフルーツやパッションフルーツ、パパイヤ、マンゴー、ライチが十分な量の入ったパックが、やはり40バーツほどで売られていた。
さて、2024年の3月に遊びに行ったチェンライで、タイ人の友人アノンからびっくりすることを聞いた。
「え?日本ではマンゴーが高級品なの?タイではね、どこの家に行ってもマンゴーがあって、タイ人はマンゴーは無料だと思っているのよ。だって、皆、庭にマンゴーの木を植えていて、おやつ代わりに食べているんだもの。旬の5月になると、近所通しでマンゴーの押し付け合いが始まって、結局、家畜小屋に放り投げられるのよ」
と、彼女は言ったのだ。
それを聞いて、日本のマンゴー農家の方には申し訳ないけれど、マンゴー1個が1,500円から6,000円もすることは、やはり異常ではないだろうか、と、わたしは思った。昭和20年くらいは、小さな台湾バナナが1本、今の物価に換算すると1,000円した、という話を、大正末期生まれの祖母からよく聞いたものだった。そのバナナも、今ではひと房400円から500円ほどだろう。ということは、将来的には、マンゴーも値崩れし、もっと身近な果物になるのではなかろうか。
タイのナイトマーケットで、シャインマスカットが1キロ、800円で売られていたのを見つけた時は、さすがに心が躍り、即座に購入した。アノンは食べたことがなかったらしく、ひとつ口に入れて「美味しいわね」とは言ってくれたけれど、それほど興味はなさそうだった。
フルーツ大国のタイに住んでいるアノンにすれば、フルーツが美味しいのは当たり前なのかもしれない。
わたしが、タイで食べたフルーツの中で、一番おいしく感じたのは切りたてのパイナップル。黄色の果汁がしたたり、甘さと酸っぱさがくっきり感じられて、嚙むたびに果汁が口の中にジュワーッと広がっていく。
フルーツ屋台なるものもあり、マンゴーやパイン、ローズアップル、パパイヤなどのカットフルーツ、一口分8切れ入った袋が、10バーツ(約40円)で売られていた。
また、タイでは、主食にもち米(カオニャオ)をよく食べる。日本でも、柔らかいご飯が好きなわたしは、カオニャオと塩で焼いた魚やピリ辛の肉と野菜の煮込みがあれば、もう幸せ。チェンライはバンコクに比べ、物価ががくんと安く、鶏肉の入った麺料理、カオソーイも30バーツ(120円)だったし、ご飯茶碗一杯分くらいの小豆のおにぎりも野菜が添えられ10バーツ(40円)だった。
チマキも、種類が豊富で、黒豆が入ったものやバナナが入ったもの、黒砂糖、ココナッツ・・・といろんな味が楽しめる。
チェンライの朝は、コテージで、アノンのお母さんの手作りチマキとフルーツ、ドイトゥンコーヒーを、木々の揺らめきと小鳥のさえずりに包まれながら、ひとりでゆっくり楽しんだ。それは本当に美しい時間だった。
コメント