マクドナルドが憧れであった頃

エッセイ

 わたしが10歳の頃、駅前にマクドナルドの店ができた。

 当時、町中で話題になり、近所に住む男子大学生が、

 「マクドナルドのハンバーガーは、そこいらのハンバーガーとは格が違うんだ」

 と、得意げに言っていたのを覚えている。

 その頃、マクドナルドのハンバーガーは、わたしが子どもで、うちが貧乏だったこともあり、ものすごく高価に感じた。(肌感覚だが、今の物価でいうと、500円くらいはしたのではないだろうか)

 それでも、出店当時は食べに連れて行ってもらい、すごくアメリカン、を感じたような気がする。 

 初めてマクドナルドでストロベリーシェイクを飲んだ時も、

 「こんな美味しいものがこの世に存在したのか!」

 と、驚いたことも覚えている。

 しかし、当時のハンバーガーと現在のハンバーガーは同じものなのだろうか?とふと思う。

 その頃は、本格的なアメリカンバーガーだったのに、今じゃ、100円で買えるファストフード。

 でも、値段が安いことが人の味覚に影響していることは確かな気がする。

 例えば、30年前だけれど、ギリシャに行った時、人々がギリシャでは安いメロン(1キロ20円だった)には目もくれず、1本100円するバナナを大切に食べていたこと。また、同じく30年ほど前だけれど、シンガポール人が牛肉には見向きもせず、シンガポールでは一番高価だった鶏肉ばかり美味しそうに食べていたことを思えば、人間って高価なものを美味しく感じるようにできているのかもしれない。

 でも、マックのハンバーガーには小学生でも買える、今の価格を保ってほしい。

 わたしは、マックは1年に1度くらい食べている。血糖値が高く、高脂血症なので、アメリカンなものは、もうあまり食べられなくなった。

 

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