一目均衡表の細田哲生先生にお会いした日

エッセイ

  気が付けば、あっという間にゴールデンウィークが終わり、5月も半ばを過ぎた。

  2024年の、わたしの3月が輝いたことを、書こう書こうと思いながら、いつものように時間はさらさらと流れていく・・・。

 何に時間を使っているのかというと、ありきたりだけれど、わたしの場合はSNS。YouTube動画やX(旧ツイッター)を延々と見てしまうのだ。ああ、アラカンというのに、SNSに翻弄されるわたし・・・。

 しかし、今は、本当に恵まれた時代で、スマートフォンひとつで、電話はもちろん、わたしの子どもの頃はドラえもんの道具に入っていそうな夢のビデオ通話もでき、知りたいことを瞬時に検索でき、グーグルマップで行きたいところに行け、好きな音楽や映画、興味ある講座も無料で聴ける。X(旧ツイッター)なんて見ると、皆、ホント、詩人や写真家、画家、漫画家、学者。知識と創造性に満ち溢れ、わたしが好きな面白い動物動画や海外旅行動画もいくらでもポストしくれていて、なにか質問すれば回答してくれたりする。

 わたしは、そのXで、株価の相場を読む力を与えてくれる、世界の一目均衡表の大御所、細田哲生先生のポストに出会った。先生のポストは、いつも人間味に溢れ、言葉も、自撮りのお写真も自然体で面白く、いつも一緒のワンコは幸せそうにうっとりとしていて、魅力的で、どこまでも追いかけてしまう。わたしは、先生のほとんどすべてのポストに、それはストーカーのように、「いいね」を押し続けている。 

 そして、ついに、2024年3月16日に大阪で開催された「一目均衡表週間編」出版記念セミナーに出席し、細田先生の対面講義により、一目均衡表の世界に触れることができた。

 こういう出来事があると、つかみどころのないように感じるSNSの世界においても、思いがけない方との確かな繋がりってできるのだなあ、と感慨深くなる。(しかし、それは、細田先生が一目均衡表という学問の先生であり、本名も顔も公開されていらっしゃるから信頼できたのであって、基本的にSNSで知り合った人と一対一で会うことは危険極まりないと思います)

 大阪セミナーで、細田先生は、一目均衡表について、当日配られた2枚のプリントを元に2時間の講義をしてくださった。その時、細田先生の、大らかさや優しさ、柔らかな物腰、そして、何よりも伝えるべきことをしっかり伝えていこうとされている誠実さに圧倒され、わたしはずっと緊張しながら、なにかお湯のようなものが胸の中を流れていくのを感じた。

 Xでポストされているように、細田先生は1年ほど前に胃癌の手術を受けられて、お会いした時もほっそりされていた。病気になられる前の細田先生のお姿を知らないわたしには、それは、病気というより、もともとの体型のように思え、不謹慎ながら贅肉がまったく見受けられない先生の肢体がモデルのように繊細でしなやかに見え、自分のタプタプしたお腹や太ももを残念に感じたりした。

 先生が、一目均衡表について説明される言葉を一生懸命拝聴したが、何の勉強もしていなかったわたしには、少しも理解できなかった。ただ、先生の、熱く語りかけるような説明を聞きながら、いつかは理解できるようになりたいと、一目均衡表が時間を重視しているところも人生の指針にさせていただけるのではないか、と感じ入ったりした。

 先生は、立ったり歩いたりされる時は、杖に重心をかけていらっしゃることもあり、まだお身体は完全には回復されていらっしゃらないようだった。ホワイトボードに書いた字を消されている時、先生の身体がふらりとして、膝を床に着かれる瞬間があった。わたしは、先生の膝が床に着いた瞬間、その膝の部分に水たまりのようなものが見えた。それは、先生の、痛みだったり、驚きだったり、戸惑いだったり、をわたしの心が勝手に感じて見えたものだけれど、その水たまりのようなものが、タイのラン島で見た透き通った海水のように美しくて、わたしはますます細田先生を好きになった。

 セミナー後に、近くの居酒屋で懇親会もあり、わたしは胸がいっぱいで何も食べられなかったが、セミナー会場で購入できた「一目均衡表週間編」を膝に抱いたまま、細田先生や姫さん、長年勉強されていらっしゃる方々とお話しし、アラカンとしては不思議ほど、ふわふわと夢見心地な時間を過ごすことができた。

 しかし、

 「一日3時間は勉強すべきだと思うわ。ピアノでもバイオリンでも、プロになる人は一日3時間は練習しているはずよ」

 という姫さんの言葉を思い出すたびに、わたしは押し入れの中にでも隠れたくなる衝動に駆られる。根が怠け者のわたしは、休日になるとダーツやカラオケ店で何時間も過ごし、家でアイスクリームやケーキを食べては、猫と遊び惚けている。

 でも、わたしは、一目均衡表を必ず理解できるようになりたい。ミーハーだけれど、細田先生のお人柄を信頼でき、大好きなことが、その思いを強くしている。そして、株の相場を読む力を養い、今よりぐんと豊かになりたい。

 アラカンになって、人柄を好きなるということは絶大な信頼を生み、情熱を生むということを確信できたことが嬉しい。わたしの心はまだそんなに齢をとっていない。

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