コロナ禍になって、わたしはなんとなくYouTubeで、タイのパタヤに関する動画を見るようになっていた。
なぜ、パタヤかというと、物価が安く、冬がなく、綺麗なビーチが広がっていて、日本人の口に合うタイ料理を始め、和食やイタリアン、デンマーク料理、ロシア料理、中華、など世界中から旅行者が集まっているため食事に困らず、地震もないからだ。それ故、世界中の人々から、「FIRE民の聖地」と呼ばれたりしている。また、日本との時差が2時間で、フライト時間も日本から5、6時間という至れり尽くせりの条件が揃っている。
本好きのわたしは、加えて、日本語の本をいっぱい蔵している図書館があれば、明日からでも移住したい、などとすっかり夢見るようになっていた。
そして、有効期限が切れていたパスポートをとりなおしたり、A型肝炎と破傷風の予防接種を受けたり、ドンキで格安旅行バックを買ったりと着々と準備を進め、気がつけば、パタヤの地に降り立っていた。人は、情熱と希望さえあれば、その方向に歩き続けるのだな、と確信した。
赤や黄色の花々の甘い匂いと海風、南国特有のゆったりと流れる時間・・・。たとえ南国であっても、住み着いたらそれなりのしがらみがあるのかもしれないが、何と言っても、わたしは気ままな旅行者。ああ、旅行者って、無敵感半端ない存在に感じる。
まず、嬉しかったのは、マンゴーが1キロ、20円だったこと。これだけでも、日本人は「ここは本物の楽園かも?」とテンションが上がるのではないだろうか。カットされたマンゴーが山盛り入ったパックを160円で購入した時、わたしは思わずガッツポーズをした。(本当に毎日、お腹いっぱいになるまで食べた)
メロンやスイカ、ドラゴンフルーツなど、南国フルーツがたっぷり入ったスムージー(500ml)も25バーツ(100円)で、毎日飲んでも懐は痛まない。
それから、ココナツミルクで炊いたモチ米(カオニャオ)に程よい甘さのカスタードクリームをのせたもの、黒砂糖をまぶしたもの、竹の笹で包んで香ばしく焼いたもの、ココナツミルクを添えてマンゴーを添えたものなどのココナッツテイストのもち米菓子が、茶碗一杯分の量で20バーツ(80円)だった。ココナッツプリン、ココナッツゼリー・・・。南国と言えば、ココナッツですな。
ココナッツオイルをたっぷり使った全身マッサージも1時間、1600円。フットマッサージなら、1時間800円ほど。(寂れた感じの店なら400円でマッサージを1時間、施術してもらえる)
ホテルはピンキリだが、わたしは古風なタイ風の部屋に滞在し、朝食付きで一泊3,000円だった。長期滞在をすればここから割引してもらえるだろう。
そして、素朴で美しいビーチ。特に夕方のビーチは暑さも和らぎ、夕陽でオレンジ掛かった海が優しいモスグリーンに変わる様子は心に沁みた。
やわらかい波の音がわたしを包み込む。心行くまで眺めながら、幸せな時も悲しい時も、この風景を思い出そうと誓った。
これからは、わたしの胸の中には、パタヤビーチの優しい波の音が流れ続けることだろう、と。
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