落ちている猫 ー神々しいおキャット様ー

エッセイ

 猫好きの間では、猫がへそ天で眠っている姿を「落ちている猫」といい、神々しいと表現する。

 様々な外敵・・・縄張りを横取りしようとする猫やカラス、意地の悪い人間というストレスにまみれた野良猫はへそ天で寝たりはできない。

 だから、飼い猫の無防備な寝姿を見ると、飼い主はとろんとなってしまう。愛情とは何がしかのものだあ、と住んでいる世界が少しだけ良いところに感じられる。

 でも、わたしは旅行に行った先の漁村で、草むらでへそ天で寝ている猫を見たことがある。撫でても抱っこしても、そのキジ猫はされるがままで眠りこけていた。この辺りに住んでいる人は一人残らず優しい人たちだと信じられる気がして、心から嬉しくなった。

 我が家では、夫がヘソ天で眠っていて、夫の腹の上に猫が乗っていることもある。同じように平和な光景だが、神々しくは見えない。ただただ、長閑な感じ・・・。

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