ライオンカットをした猫

エッセイ

 ついに、我が家の次女(人間の娘はカウントしていない)のアリスが、ライオンカットになった。

 あちこちにフェルト状の毛玉ができ、ずっと悩みの種だったのだ。毛玉は皮膚を引っ張るので、放っておくと皮膚炎を起こす。かといって、ハサミで切るのも皮膚を切りそうで、いつも中途半端にしか除去できなかった。バリカンも買ったけれど、フェルト状になった毛玉には刃が入って行かない。フーッ。

 アリスのライオンカットは送迎込みで、13,200円。うーん、高いような安いような・・・。(わたしが2ヶ月に一度受けているヘアカットは1,200円)

まあ、アリスは年に一度のカットだし、シャンプーとブロー、爪切りも入っていることを思うと、決して高くはないかなぁ。

 仕上がりも決まっている。やはり、プロの仕事は違う。

 しかし、猫が美容室に行くなんて、わたしの子どもの頃には考えられなかった。

 田舎の戸建にずっと住んでいたが、猫とは縁側から上がってきて、いつの間にかいなくなるものだった。縁側に置いてあるエサを、猫だけではなく、イタチやタヌキも食べにきていた。見かけたことはないけれど、猿も来ていたかもしれない。

 わたしが住んでいた田舎は、猿が出ることで有名な地域だった。近所の人から、

「居間の襖が開いていたので覗いたら、猿がミカンを食べながらテレビを見ていた」

 と、いう話を聞いたこともある。(よく見たら、夫だったという説もある)

 まあ、田舎では猫を飼うというより共存していたという感じ。来るもの拒まず去る者追わず、と言えば格好良いけれど、まあ、悪く言えばいい加減に、よく言えば鷹揚に生活していた。

 縁側に、猫のドライフードとイリコ、バター付きパンを置いていたら、イタチはいつもバター付きパンをくわえて帰っていた。

 さて、ライオンカットのアリスが帰ってきた時、長女のジジは誰だか分からなかったようだ。キャットタワーを駆け上がり、険しい目つきでアリスを見ていた。まあ、仕方ないよなあ、わたしの目にも猫というより、まったく違う生き物に見えるのだもの。まるで宇宙から来た生物みたい。

 でも、ライオンカットって、本当に斬新! 発案した人はアーティストだと思う。

 長女のジジもライオンカット、してもらおうかなぁ。

 

コメント