わたしはクロエの黒のショルダーバックを持っていて、冬場はずっと持ち歩いている。マチも広く、チャックで閉じられ、斜め掛けができ、とっても機能的。シックなデザインもすごく気に入っている。
さて、クロエのバックは現在30〜40万円ほどする。お金持ちではないわたしがどうやってこのバックを手に入れたかというと、お察しの方もいらっしゃると思うが、メルカリでである。
出品された方は、当時子育て真っ最中で、
・専業主婦なので収入がなく、少しでも自分のお金が欲しいこと。
・自分はママバックしか使っておらず、今後仕事をするとしてもパートだろうから、ハイブランドのショルダーバックは使わないと思うこと。
などを、コメント欄で教えてくれ、17,777円という安さで販売していただき、30,000オーストラリアドル(日本円で25、6万円)の領収書とともに即日発送してくれた。ヴィトンやエルメス、シャネルならすぐに買い手が付くが、ハイブランドであっても、クロエなどの日本では知名度がいまひとつのバックや財布はなかなか売れないようだ。
メルカリは、上手に使えば便利でお得だけれど、ひとつだけ食べてしまった箱菓子や使いかけの美しいアイシャドウのパレット、外国の御守り、昔流行ったコミック本、アンティークのブローチなどなど、見ているだけで際限なく楽しく、時間がトロトロ溶けていくので、わたしは即アカウントを消去した。
しかし、数ヶ月間、メルカリを体験したことで、リセールバリューというものを身に染みて感じられるようになったことは収穫だったと思う。
服はブックオフで中古を探し、新品同様のオンワード樫山の定価6万円のコートを1,360円で購入したり、(もう買えないないけれど)ダイヤモンドリングも質屋を見てまわれば、定価の5分の1から10分の1ほどの値段で買えることを知った。こんなことを言うと、
「え、服やリングの中古品を身につけるの!?」
と、驚く人が多いけれど、作成されて100年以上経つアンティークのアクセサリーや家具、食器や服をありがたがり、作成されて数年の中古品は他人の使い古しだと敬遠するのはナンセンスではないだろうか。
井形慶子さんのエッセイに、イギリスでは、お金を大事に使うため、当たり前のように中古品を買い、時には中古品をリメイクして自分の個性をプラスしたりする、と書かれてあった。
わたしも質素で快適に暮らしたい。料理や読書、時々素朴な旅行を楽しむような、時間的に余裕のある、充実した暮らしに早くシフトしたい。
わたしは、働いてお金を得て、ストレスを忘れるためにお金を使うというサイクルの日々に、すっかり疲れてしまった。
「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ……。なんだか、とても眠いんだ……」
ああ、時間に困窮しているわたしは、今、まさにこんな気持ち。(え、「フランダースの犬」のネロに例えるのはさすがにおこがましいって?・・・すみません)
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