子どもは、くすぐって叱ろう!

エッセイ

 わたしの祖母は大正生まれで、辺鄙な田舎の出身で男尊女卑が激しく躾に厳しく、孫のわたしなど、つまみ食いをしただけでほっぺたを思いっきり叩かれたりしていた。

 「ほら、台に肘をつかない、背筋が丸くなってる、その箸の持ち方は何なの!バチン!」

 1、2、3、バチン!という毎日が、わたしが3歳くらいの頃から続いていた。

 そんな祖母に育てられた母も屈折していた。祖母は息子ばかりを可愛がり、母は物心ついた頃から、自分の兄に敬語で話さなければならなかった。

 母は、わたしをそんなに叩いたりはしなかったが、言葉尻を捉えて何時間も叱責するタイプ。そして、わたしが口答えすると、「それなら、お母さんは死にます」と脅していた。(まあ、それだけ母も、自分の母と兄から受けた抑圧が凄まじかったのだろう)

 わたしは次第に病んで、寝つきが極端に悪くなり、便秘がひどくなり、食べては吐くという過食症になった。そして、20年以上、心療内科に通うはめになった。育ててもらったことは理解しているが、わたしは、常にストレスを与え続けた祖母(今は他界)と母に愛情を持つことはできない。

 だから自分の子どもを叱る時、理由をきちんと伝えて思い切りくすぐるという育て方をした。思い切りくすぐられれば、叩かれるのと同じくらいのストレスを感じるだろうが、親も子も嫌な気持ちが残らない。もちろん、道路に飛び出したり、という命の危険がある時は、手を引き即座に怒鳴らなければならないだろう。

 それから、サンタクロースや織姫・彦星物語、天使が存在するという夢、を大切にしてあげてください。そんなことでうっとりできるのは子ども時代だけなのだから。抜けた歯を銀紙に包んで枕の下に置き、翌朝天使が50円玉にしてくれていた、のを見た時の子どもたちの笑顔は、親にとってもプライスレス。

 娘は中学生になって、

 「サンタクロースって、いないんじゃないの?」

 と、口を尖らせて聞いてきたが、

 「いるよ。見えなくても、いるものはいるの!」

 と、わたしはムキになって答えていた。

 あの、「お前は橋の下に捨てられていたんだよ」という言葉もやめましょう。あの言葉は、昭和の時代だけ?

 子どもは親と別人格で、ましてや親の所有物ではない。子どもが育ち上がったら、(どんな理由があろうとも)なんだかんだ言って継続的に金をたかるなどをすれば、もう、それは親子ではない。

 親の話になると、屈折感が出るわたし。エッセイくらい、ポジティブで、読んでくれた人が元気になるものを書きたいのだけれど・・・。今日は、ごめんなさい。

 

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