YouTuber 脱北者の金(キム)さん

エッセイ

 

脱北者が語る北朝鮮
こんにちは、北朝鮮から参りましたキムです。 キムについてもっと知りたい方は下記のURLから キムの本『僕は脱北youtuber 』 キムのサブチャンネル キムのTwitter E-meil:anscjf87@yahoo.co.jp

 わたしはYouTuber 脱北者のキムさんのファンで、彼がアップする動画は必ず見ている。

 彼は10歳の頃、お母さんが亡くなり、お父さんが脱北して、姉3人と弟1人とともにコチェビ(浮浪児)となり、本人以外は皆、餓死するという壮絶な経験をされている。その後、お金を貯めた父親が、キムさんを脱北させようとするも一度目は捕まり、保衛部で過酷な取り調べを受けたという。そして二度目の脱北を試みる時、再び捕まった時は自分の命を終わらせるつもりで、殺鼠剤を肌身離さず持っておられたようだ。

 脱北に成功して中国から渡って来た韓国で、キリスト教に出会って、「ヨゼフ」とういう洗礼名をもらわれたそう。キムさんの話によると、北朝鮮では宗教を持つと死刑になるらしい。

 それから、韓国で働いて必死に貯めた300万円を詐欺で騙し取られるも、自分には健康な身体があるからまた頑張ろうと果敢に日本に留学して来られ、今では堪能になった日本語でyoutube で動画を配信されるようになり、登録者数は10万人を超えた。

 キムさんは一見普通の青年に見えるが、どんな運命にも静かに立ち向かい、自分が信じる道を(早足で)歩き続ける姿に胸を打たれる。

 本当に今は良い時代だなと思う。キムさんのような、壮絶な体験をされた方の話を10万人以上の人がスマホで自由に聞いているのだ。

 キムさんの動画では、ほのぼのとした話も聞ける。北朝鮮では、結婚式に呼ばれた時、1.7kgのトウモロコシをお祝いに持っていくのが慣習だそう。

 そして、結婚式では冷麺を振る舞われ、帰り際にお餅を配られるらしい。韓国や日本の結婚式では、お祝儀としてお金を渡すのを知って、

 「やはり資本主義は違うなあ」

 と、驚いたという。

 また、北朝鮮の結婚式では、ぼろぼろの靴を履いて行って、帰る時は他人のきれいな靴を履いて帰る人もいるようだ。えー、じゃあ、わたしは玄関で自分の靴を袋に入れて結婚式の間もずっと手に持っているようにするわ、と思ったが、北朝鮮での結婚式に呼ばれることは今後もないだろう。(行ったら、二度と日本に帰って来れないだろうし)

 キムさんの動画に、

 「生きるのが辛いですか?」

 というサムネがついたものがあるが、ホント、返す言葉がありませんね。キムさんがメンタルを病むこともなく(病んだことはあるのかもしれないが、今は元気で)北朝鮮に関するしっかりした内容の動画配信を続けられていらっしゃる姿勢に本当に頭が下がる。しかも、外国語である日本語で。

 生まれた頃から日本に住んでいるからありがたみが今ひとつ実感できないけれど、日本に生まれたわたしはものすごく幸運なのだと、キムさんの動画を見るたびに、ちょっと反省する。

コメント