バックのチャックは閉めなきゃダメ?

エッセイ

 わたしのメインバックはミニボストン型のもの。マチがたっぷりあるので、物が結構入り、斜め掛けができることで購入した。そしてチャックが付いていることも大切なポイント。チャックで閉められるバックは安心感が持てる。

 安心感が持てるなどと言いつつ、元来モノグサなわたしは、チャックを開けたままバックを持ち歩くことが多い。スマホやイヤフォン、財布、ティッシュ、手用の消毒液などを出したり入れたりするから、チャックは開いたままが便利。

 けれど、

 「バックのチャックが開いてますよ」

 と、知らない人から声をかけられたことが何度もある。その時は笑顔で、

 「ありがとうございます。うっかりしておりました」

 などと、愛想を振りまいて、即座に閉めているのだけれど、心の中では、

 「どっちみち開けるのだから、開けっぱで良くない?」

 などと、呟いている。だって、もともと、チャックもボタンも付いていないバックだってあるのだし。あれは良くて、これはダメなの?ていうか、わたしがそういうバックを買えば良かったのかも。

 今日、仕事の帰りに、

 「チャックが開いてますよ」

 と、インド系の女の子から声をかけられた。その時、ズボンを履いていたので、そっとズボンのチャックに手を当てる。

「そこじゃない、バックのチャック!」

 と大きな声で指摘され、わたしは慌ててバックのチャックを閉めた。

 彼女の表情は真剣で、キリッとした大きな瞳と太い眉が印象的だった。彼女の国では、バックのチャックを閉めないなんて、危険極まりない行為なのかもしれない。

 「サンキュ~」

 と、笑顔で手を振るわたし。

 平和ボケを反省しましたが、日本にいるから、やっぱりバックはチャックを開けたまま使い続けると思うの。

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