心がひりつく時はカフェインを摂らない

エッセイ

 心がひりつくことがある。心にいくつも引っ掻き傷ができて、膿んで、ピンクの皮膚が剥き出しになって、血管から(何故か塩辛い)血が流れて、傷口に沁みて沁みて、みたいな。

 特に、不安神経症という持病を持ったわたしは心がひりつきやすい。

 わたしは経験上、うつ病や不安神経症、広場恐怖症などの精神疾患を治すには、アルコールを断つことが必須だと思っている。

 アルコールは大脳皮質や臓器を痛めるし、時間もお金も浪費する。

 特に、精神疾患は重症化する。精神疾患が苦しいからアルコールを摂取し、アルコールを摂取するから精神疾患が悪化していく。わたしは、アルコールを断っていなかったら、今、自分は生きていないと確信する。あの、強い吐き気が脳に来た感覚。パチパチと脳のあちこちが不定調和を起こす恐怖。脳ががボロ雑巾のように縮んでクタクタになって朽ちていく、あの絶望感。

 アルコールの量を自分で本当にコントロールできる人は誰もいないだろう。もし、コントロールできるなら、完全にコントロールして、スッパリ止めると良いと思う。

 アルコール摂取を止めて困ることはまったくない。気分転換をするものは、他にいくらでもある。疲れたらお風呂に入リ、自分で足をマッサージし、ストレッチをし、喉が渇いたら水やお茶を飲めば良いのだ。

 止めるコツは、もう飲めない、と思うと渇望感が湧くから、もう自分はアルコールから自由だ、と思うことだろう。詳しくは、アレン・カーの「禁酒セラピー」をお読みください。わたしはこの本を古本屋で100円で買って読み、その1週間後にはアルコールをすっかり止め、あっという間に15年が経つ。今も飲みたいなんて一瞬も思わない。

 その結果、わたしの精神疾患はめきめき楽になり、服薬は続けているが仕事を休んだり寝込んだりすることは無くなった。

 それでも、心がひりついて仕方がない時は、カフェインをしばらく断つ。カフェインはアデノシンという神経伝達物質の働きをストップさせ、過剰に摂取するとパニック発作を引き起こすことすらあるようだ。わたしは普段からコーヒーも紅茶もなるべくカフェインレスのものを飲むようにしている。カフェインゼロのハーブティーも、いろんな種類があって楽しいし、美味しい。

 「心がヒリヒリする」

 と、昨晩、夫に言ったら、

 「え、「ヒリヒリする」なんて言葉、ないじゃないか。びっくりさせないでよ」

 と言われ、びっくりした。

 しかし、今日、夫から、

 「お母さん、「ヒリヒリする」という言葉はあるんですね。ぼくは、今日、「草むす」という日本語も覚えました」

 と、LINEメールが届いた。こういう時、夫をかわいく思う。

 でも、夫よ、どうしてそこにいく?「草むす」という言葉を使う機会が現れることはないと思うよ。

 

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