ちょっと危険なヒーリング方法

エッセイ

 イギリスの暮らしや生活の知恵などのエッセイを書いていらっしゃる井形慶子さんの本に、こんなことが書かれてあった。

 「心が辛い時は、自然に生えている花にそっと顔を寄せてみましょう。植物のヒーリング効果は驚くほど高いのです。心が軽くなっていくのを感じられるでしょう」

 え、そういう方法があるんだ、いいことを教えてもらった、と、最初は喜んでいたけれど、わたしが花に顔を寄せたりしたら、蜂が出てきて刺されそうな気がする。あるいは、ゴキブリが飛んできて目に張り付く、とか。

 心理学者の加藤諦三先生の本には、

 「母なる存在を持てなかった人は、森に行って大樹を抱きしめて目を閉じてみたらいい」

 と書かれていた。それを読んだ時も、自分が森の樹を抱きしめている間、ムカデが背中に入ったりしないかしら、と心配になった。そんなことになったら、ますます母なる存在にトラウマを抱えそう・・・。(わたしは毒親育ち)

 こういうことを考えてしまうのは不安神経症患者の特徴じゃないかしら、と思ったりもする。

 心のヒーリングをしたい時、わたしはタヌキのように太った猫のジジのお腹に顔を埋める。(猫吸いはしません)

 ジジは機嫌がいい時はゴロゴロ言って、わたしの顔を舐めてくれたりする。しかし、機嫌が悪い時は、わたしの頭を口と手で鷲掴みにした上で猫キックし、いつかはジジの足がわたしの目を直撃して、そのあまりの痛みに眼科に行く羽目になったこともある。

 でも、わたしにはジジのお腹しか、ヒーリングできる場所が思いつかない。

夫に抱きついても臭いし、

 「世間様にできていると思われる!」

 などと、意味不明の言葉を発し、ジタバタして逃げて行くし。

 よくよく考えると、わたしのヒーリング方法は、結構危険だったりする。

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